ベニスに死す/ベニス9

ベニスと言えば、速攻で思い出すのが、ルキノ・ヴィスコンティ監督の『ベニスに死す』

美少年・少年愛の走り、ビョルン・アンドレセン

この作品は1971年のもので、私は同時代で観ていたわけではありません。

まだビデオがなかった時代、その後名画座でやっているのを見つけて、傷だらけのガチャガチャ映像で観ました。

原作トマス・マンで、『真実』とは何か?『美』とは何か?の小難しい映画ではありましたが、ヴィスコンティの本物の貴族の重厚な作品で、当時はいっちょまえに分かった気になって、また『ヨーロッパの退廃』に浸り、理屈をひねくり回したりしていました。



結婚して、ビデオ時代になって、貸しビデオ屋に見つけたので、借りてきて、夫にも見せました。

夫は、一緒に見始めたのですが、

シルヴィーナ・マンガーノの貴婦人が出てきたところで、

「か~っ、あの高慢ちきな恰好。貴族は嫌いだっ!」

彼は、元プチブルで、ああいう気取った世界を実際に知っていて、毛嫌いしているのです。

私は「え? 彼女、きれいでしょ?」

「何言ってる?あの高慢さ。知らないでしょ?あの世界」



「まあまあ」となだめつつ先に行くと、ビョルン・アンドレセンの登場。

そこで彼は、

「きれいな女の子だなぁ」

と眺めているから、

「男の子だよ。きれいでしょ?」と私。

そしたら彼、「ギャ~ッ、男?これ男なの?ホ〇じゃん。ヤダ、気持ち悪い」って。

私は焦って、「イヤ、この映画は、ホ〇とかそういうのではなくて、『性』を超えた『美』とかそういう…」と説明するのですが、もう「ホントに男?何で男なのにこんな恰好してるんだ?この爺さん(ダーク・ボガート)は何で男を追いかけ回しているんだ? 〇態か?」と文句言いっぱなして、予想外の展開に私も口をあんぐり。



形而上の崇高でスゴイ深い哲学的な難しいテーマのはずなのですが、夫にかかると、何というか、下世話な形而下の話になってしまってて、「観る者によってここまで解釈が変わるのか」と結構衝撃的で、最初必死に説明していたのですが、途中で大笑いしてしまい、「もういいよ」と消してしまいました。



私の脳内では、『ベニス』→『ベニスに死す』→『このエピソード』と繋がっています。『真実の美』についてあんなにも悩み苦しんでいたダーク・ボガートも、傍から見ればただの変態……哀れなり、ダーク・ボガートっ!



ある意味夫は健全なのかも。






[PR]
by iroirohitorigoto | 2017-10-27 20:20 | 出不精な私でも旅をする