年の離れた友人

『健やけく 幸多かれと 

祈るのみ

フランスへ行く友のため

我は』


20年近く前、事情でこちらに来た時、住んでいた日本の村の、お世話になったKさん夫妻、奥様が贈ってくれた歌。

額に入れて、今でも飾ってある。書かれた半紙も既に日焼け色。

戦前戦中戦後と生きた彼ら。

奥様である、そのおばあちゃんは中学校までしか出ていないそう。

でも歌を詠み、長唄を歌っていた。

こちらに来てからも、送られてくる手紙にはいつも歌が添えられてあった。

手紙の最後はいつも同じ。

ただただ『元気で。体に気をつけて』。子供たちには『お父さんお母さんの言うことを聞いてりっぱな人になってください』と添えられていた。

別れる時、小さな身体の彼女が、無言でギュッと抱きしめてくれた。あの世代の人が。

今はもう、彼らもいない。




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by iroirohitorigoto | 2017-08-27 05:53 | 日本の田舎の思い出/Kさん夫婦